中小企業診断士

経営法務
Q 2 : X 株式会社(以下「X 社」という。)は、Y 株式会社(以下「Y 社」という。)との間で、それぞれが出資して株式会社形態の新会社を設立し、合弁事業を行おうとしている。これを前提に下記の設問に答えよ。 次の2つの条項は、X社がY社との間で締結した合弁契約書に定められたものである。この2つの条項の標題として空欄A及びBに入る語句の組み合わせとして最も適切なものを下記の解答群から選べ。 [ A ] 第○条X社は、合弁会社の株式の全部又は一部を第三者に譲渡しようとする場合には、Y社に対し、書面をもって、当該譲渡の相手方(以下、本条におい て「譲受人」という。)の氏名又は名称、譲渡しようとする株式の数及び譲渡の条件を通知する。 2 Y社は、前項の通知が到達した日から60日以内にX社に対して買取りを希望する旨の書面による通知を行った場合には、Y社が指定する公認会計士によって合弁会社の資産状態その他一切の事情を考慮して定められた価格で、X 社が譲渡を希望する株式を買い取ることができるものとする。 3 Y 社は、X 社に対し、合弁会社の株式の価格についての意見を前項の公認会計士に述べる機会を与えるものとする。 4 X 社は、Y社が、第2項の期間内に買取りを希望する旨の書面による通知を行わなかった場合には、第 項で通知した数の合弁会社の株式を譲受人に対して譲渡できるものとする。 [ B ] 第○条 Y 社は、次の各号の事由が生じた場合、X社に対し、Y社が保有する合弁会社の株式の全部又は一部を、Y社が指定する公認会計士によって合弁会社の資産状態その他一切の事情を考慮して定められた価格で、買い取るよう請求することができるものとする。 ⑴ X 社Y 社いずれの当事者の責めに帰することのできない事由により、X社とY社との間又はX社が指名した取締役とY社が指名した取締役との間で意見が対立して調整がつかず合弁会社の事業運営が滞った場合 ⑵ X 社Y 社いずれの当事者の責めに帰することのできない事由により、合弁会社に重大な損失が生じ、合弁会社の事業の継続が不可能又は著しく困難となった場合 ⑶ 前各号に掲げるもののほか、X社Y社いずれの当事者の責めに帰することのできない事由により、合弁会社の事業の遂行が不可能となった場合
Q 5 : 取引先の信用状態が悪化した場合における債権回収に関する以下の会話は、中小企業診断士であるあなたとX株式会社の代表取締役甲氏との間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。 甲氏:「Y 社が振り出した手形が不渡りになったという情報を聞きました。Y 社に対しては、売掛債権が 1億円もあるんです。これを回収できないとなると当社の経営に大きな打撃となってしまいます。」 あなた:「何か担保は取っていなかったのですか。」 甲氏:「何も取れませんでした。」 あなた:「その売掛債権の内容はどうなっていますか。」 甲氏:「Y 社は、卸売業者です。当社は、取引基本契約書を締結して、Y社に対して当社の製品を販売し、Y 社は、これを小売業者に転売しています。 当社がY社に対して有する売掛債権は、当社の製品をY社に販売して発生したものです。」 あなた:「その売掛債権について、支払期限は、もう来ているのですか。」 甲氏:「いや、まだ来ていません。」 あなた:「では、取引基本契約書に、[ A ] として、手形の不渡りが定められていますか。」 甲氏:「いや、ちょっと契約書を見せてもらえますか。」 甲氏:「どうぞ、これです。」 あなた:「どれどれ。ああ、ここに定められていますね。[ B ] を行使するには支払期限が到来している必要があるのですが、ここに[ A ] として手形の不渡りが定められているので、いますぐ[ B ] を主張できるかもしれません。[ B ] を主張できれば、甲さんの会社がY社に販売した製品について、他の債権者に先立って弁済を受ける権利、つまり、優先弁済権が認められます。」 甲氏:「でも、Y 社は、既に、当社から購入した製品を転売して、買い受けた第三者がその製品の引渡しを受けてしまっているようです。それでも優先弁済権が認められるのですか。」 あなた:「その場合でも、Y社が第三者から転売代金の支払を受けていなければ、その転売代金債権について[ B ] を行使できることになっています。これを[ C ] といいます。」 甲氏:「そんなことができるのですか。」 あなた:「ただ、この[ C ] もY社が第三者から転売代金の支払を受けてしまっていると行使することができません。」 甲氏:「手続はどうすればいいのでしょうか。」 あなた:「Y 社が転売代金を受け取る前に裁判所に申し立てる必要があるので、弁護士さんに依頼するのがよいと思います。とにかく時間がないので、早く顧問弁護士の先生のところに相談に行きましょう。」 会話の中の空欄Aに入る語句として最も適切なものはどれか。
Q 6 : 取引先の信用状態が悪化した場合における債権回収に関する以下の会話は、中小企業診断士であるあなたとX株式会社の代表取締役甲氏との間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。 甲氏:「Y 社が振り出した手形が不渡りになったという情報を聞きました。Y 社に対しては、売掛債権が 1億円もあるんです。これを回収できないとなると当社の経営に大きな打撃となってしまいます。」 あなた:「何か担保は取っていなかったのですか。」 甲氏:「何も取れませんでした。」 あなた:「その売掛債権の内容はどうなっていますか。」 甲氏:「Y 社は、卸売業者です。当社は、取引基本契約書を締結して、Y社に対して当社の製品を販売し、Y 社は、これを小売業者に転売しています。 当社がY社に対して有する売掛債権は、当社の製品をY社に販売して発生したものです。」 あなた:「その売掛債権について、支払期限は、もう来ているのですか。」 甲氏:「いや、まだ来ていません。」 あなた:「では、取引基本契約書に、[ A ] として、手形の不渡りが定められていますか。」 甲氏:「いや、ちょっと契約書を見せてもらえますか。」 甲氏:「どうぞ、これです。」 あなた:「どれどれ。ああ、ここに定められていますね。[ B ] を行使するには支払期限が到来している必要があるのですが、ここに[ A ] として手形の不渡りが定められているので、いますぐ[ B ] を主張できるかもしれません。[ B ] を主張できれば、甲さんの会社がY社に販売した製品について、他の債権者に先立って弁済を受ける権利、つまり、優先弁済権が認められます。」 甲氏:「でも、Y 社は、既に、当社から購入した製品を転売して、買い受けた第三者がその製品の引渡しを受けてしまっているようです。それでも優先弁済権が認められるのですか。」 あなた:「その場合でも、Y社が第三者から転売代金の支払を受けていなければ、その転売代金債権について[ B ] を行使できることになっています。これを[ C ] といいます。」 甲氏:「そんなことができるのですか。」 あなた:「ただ、この[ C ] もY社が第三者から転売代金の支払を受けてしまっていると行使することができません。」 甲氏:「手続はどうすればいいのでしょうか。」 あなた:「Y 社が転売代金を受け取る前に裁判所に申し立てる必要があるので、弁護士さんに依頼するのがよいと思います。とにかく時間がないので、早く顧問弁護士の先生のところに相談に行きましょう。」 会話の中の空欄B及びCに入る語句の組み合わせとして最も適切なものはどれか。
Q 18 : 次の英文契約書の秘密保持条項を読んで、下記の設問に答えよ。 Article XX “Confidentiality” A. Recipient shall maintain in confidence and safeguard all Confidential Information which is disclosed by Discloser to Recipient in connection with this Agreement and which is designated confidential at the time of disclosure. B. The Confidential Information may include, but is not limited to, all technical, financial, marketing, staffing and business information. C. The term Confidential Information shall not include information which : a) Was or becomes publicly available without the breach of this Agreement by Recipient ; b) Was in Recipientʼs possession free of any obligation of confidence at the time of Discloserʼs communication thereof to Recipient ; c) Is developed by Recipient independently of and without reference to any of Discloserʼs Confidential Information or other information that Discloser disclosed in confidence to any third party ; d) Is rightfully obtained by Recipient from third parties authorized to make such disclosure without restriction ; or e) Is identified by Discloser as no longer [ X ] or confidential. D. Provided, however, that nothing contained herein shall prevent the Recipient from disclosing any of such Confidential Information to the extent that such Confidential Information is required to be disclosed by law or for the purpose of complying with governmental regulations. E. The [ Y ]the facts set forth in sub-paragraphs C a) through e), and Paragraph D shall rest with the Recipient. この秘密保持条項の規定の内容として、最も不適切なものはどれか。
Q 19 : 次の英文契約書の秘密保持条項を読んで、下記の設問に答えよ。 Article XX “Confidentiality” A. Recipient shall maintain in confidence and safeguard all Confidential Information which is disclosed by Discloser to Recipient in connection with this Agreement and which is designated confidential at the time of disclosure. B. The Confidential Information may include, but is not limited to, all technical, financial, marketing, staffing and business information. C. The term Confidential Information shall not include information which : a) Was or becomes publicly available without the breach of this Agreement by Recipient ; b) Was in Recipientʼs possession free of any obligation of confidence at the time of Discloserʼs communication thereof to Recipient ; c) Is developed by Recipient independently of and without reference to any of Discloserʼs Confidential Information or other information that Discloser disclosed in confidence to any third party ; d) Is rightfully obtained by Recipient from third parties authorized to make such disclosure without restriction ; or e) Is identified by Discloser as no longer [ X ] or confidential. D. Provided, however, that nothing contained herein shall prevent the Recipient from disclosing any of such Confidential Information to the extent that such Confidential Information is required to be disclosed by law or for the purpose of complying with governmental regulations. E. The [ Y ]the facts set forth in sub-paragraphs C a) through e), and Paragraph D shall rest with the Recipient. 文中の空欄[ X ] には「機密の」、空欄[ Y ] には「立証責任」を意味する語句が入る。各空欄に入る語句の組み合わせとして最も適切なものはどれか。
Q 20 : 中小企業診断士であるあなたと顧客である会社役員A氏との以下の会話を読んで、下記の設問に答えよ。 A 氏:「うちの製品は国内での販売は頭打ちなのだが、なぜかB国からの注文は結構あってね。」 あなた:「B 国は今まさに工業化が進み、御社の製品はまだまだ必要になりますからね。」 A 氏:「それで今までは日本から製品を直接輸出していたのだが、B国に進出し情報収集や営業のためにうちの若手を送り込みたいと思っているのだよ。」 あなた:「まずは駐在員事務所や支店の設立など、B国への進出形態による法制度を確かめないといけませんね。」 A 氏:「それと税制も気になるんだよ。うちがB 国に支店を作りそこから売上を計上した場合、税金は今と比べてどうなるのかな。」 あなた:「B 国の税制は調べないとわかりませんね。しかし逆に考えて、例えば外国法人が日本で支店を設置し、御社と同じような製品を本国から輸入して日本の顧客に販売して利益を得た場合、どうなると思いますか?」 A 氏:「日本で稼いだ利益には日本で税金をとってもらわないと不公平だな。」 あなた:「そうなのです。もう少し詳しくいうと、外国法人が日本国内に支店を持っている場合は、日本で行った事業からの所得に対して課税が行われるのです。支店のような事業を行う一定の場所のことを[ ]と呼びます。A さんもお聞きになったことがあると思います。」 A 氏:「[ ]ね。どこかで聞いたことがあるな。つまり、うちも支店を出せば[ ]とされてB 国で課税されることになるのかな。」 あなた:「そうなる可能性が高いですね。さらに厄介なのは、実は日本の税制では、海外支店の所得も日本国内の支店の所得も合算して課税されるのです。つまり、日本で設立された法人は、その法人の世界中の所得を課税の対象とする制度をとっているのです。」 A 氏:「えっ。それじゃ二重に税金がかかってしまうじゃないか。」 あなた:「そういう問題を解決するために、(下線)国家間で租税条約を締結して二重課税 を回避する仕組みを構築しているのです。ただ、これはすべての国と締結されているわけではなく、内容もかなり複雑なので具体的には専門家に相談することをお勧めします。」 会話の中の空欄に入る語句として最も適切なものはどれか。
Q 21 : 中小企業診断士であるあなたと顧客である会社役員A氏との以下の会話を読んで、下記の設問に答えよ。 A 氏:「うちの製品は国内での販売は頭打ちなのだが、なぜかB国からの注文は結構あってね。」 あなた:「B 国は今まさに工業化が進み、御社の製品はまだまだ必要になりますからね。」 A 氏:「それで今までは日本から製品を直接輸出していたのだが、B国に進出し情報収集や営業のためにうちの若手を送り込みたいと思っているのだよ。」 あなた:「まずは駐在員事務所や支店の設立など、B国への進出形態による法制度を確かめないといけませんね。」 A 氏:「それと税制も気になるんだよ。うちがB 国に支店を作りそこから売上を計上した場合、税金は今と比べてどうなるのかな。」 あなた:「B 国の税制は調べないとわかりませんね。しかし逆に考えて、例えば外国法人が日本で支店を設置し、御社と同じような製品を本国から輸入して日本の顧客に販売して利益を得た場合、どうなると思いますか?」 A 氏:「日本で稼いだ利益には日本で税金をとってもらわないと不公平だな。」 あなた:「そうなのです。もう少し詳しくいうと、外国法人が日本国内に支店を持っている場合は、日本で行った事業からの所得に対して課税が行われるのです。支店のような事業を行う一定の場所のことを[ ]と呼びます。A さんもお聞きになったことがあると思います。」 A 氏:「[ ]ね。どこかで聞いたことがあるな。つまり、うちも支店を出せば[ ]とされてB 国で課税されることになるのかな。」 あなた:「そうなる可能性が高いですね。さらに厄介なのは、実は日本の税制では、海外支店の所得も日本国内の支店の所得も合算して課税されるのです。つまり、日本で設立された法人は、その法人の世界中の所得を課税の対象とする制度をとっているのです。」 A 氏:「えっ。それじゃ二重に税金がかかってしまうじゃないか。」 あなた:「そういう問題を解決するために、(下線)国家間で租税条約を締結して二重課税 を回避する仕組みを構築しているのです。ただ、これはすべての国と締結されているわけではなく、内容もかなり複雑なので具体的には専門家に相談することをお勧めします。」 会話の中の下線部の租税条約の特徴に関する記述として最も適切なものはどれ か。
Q 24 : 企業買収の手法に関する以下の会話は、中小企業診断士であるあなたとX株式会社の代表取締役甲氏との間で行われたものである。空欄AとBには、下記のa〜cの記述のうちいずれかひとつが入る。空欄と記述の組み合わせとして最も適切なものを下記の解答群から選べ。 甲氏:「私の会社も、将来に向けて海外に展開していかなきゃいけないと考えています。そうしたところ、取引銀行から、私の会社の事業とのシナジー効果が見込めそうな外国会社の事業買収の案件の紹介を受けたので、検討を始めたのですが、どういった手法がよいのか考えがまとまらなくて困っています。株式の譲受け、事業譲受け、吸収分割といった手法が考えられると思うのですが、それぞれどのようなメリット・デメリットがありますか。」 あなた:「そうですね。まず、株式の譲受けについては、特約で禁止されていない限り、買収対象企業が契約を締結している相手方 (取引先)の同意を必要としません。次に、事業譲受けの場合、[ A ]。それから、吸収分割の場合、[ B ] 。というように、それぞれ、メリット・デメリットがありますし、税務的な観点からの検討も必要になります。弁護士や税理士の先生の協力も得て検討すると良いと思いますよ。」 甲氏:「なるほど、考えを整理することができました。」 a 相手方が外国会社だと行うことはできないと実務的には考えられているので、今回のケースでは採用できないと思います b 財務諸表に計上されていない偶発債務を切り離すことができるメリットがあります c 取引の相手が消滅してしまうので、後日何か問題があっても取引の相手に責任を追及できないというデメリットがあります
Q 25 : 以下の会話は、中小企業診断士であるあなたとX株式会社 (以下「X社」という。)の代表取締役甲氏との間で行われたものである。現在、X 社は、Y株式会社 (以下「Y社」という。)との間で、Y社の完全子会社であるZ株式会社 以下「Z社」という。)の全株式の買取りに向けた交渉を行っている。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。 甲氏:「今、わが社によるZ社株式の買取りについての契約書を読んでいるのですが、見慣れない用語が飛び交っていて正直よく分かりません。」 あなた:「確かに、株式譲渡契約は、売買、賃貸、請負といった、企業間の商取引とは異なる構造になっているので、慣れないと難しいですよね。これらの契約には、[ A ] や[ B ] 事項といった[ C ] 系の概念が用いられており、[ D ] 系に属する日本にはなじみにくいところがあります。」 甲氏:「まず、クロージングとは何でしょうか。」 あなた:「取引の実行のことですね。通常、契約書を締結してから、取引を実行するまでに間隔が空くので、クロージングという概念がでてきます。株式譲渡の場合でいうと、売主から買主への株主権の移転と買主から売主への株式譲渡代金の支払ということになります。」 甲氏:「なるほど。[ A ] とはどういうことでしょうか。」 あなた:「株式譲渡の場合だと、契約の一方当事者が、相手方当事者に対し、株式やその株式を発行している株式会社の状況などについて、契約書締結時やクロージング時などの一定の時点において、一定の事項が真実かつ正確であることを[ A ]するものです。今回の契約書ですと、Y社が御社に対して、Z社において未払い残業代がないことなどを[ A ] しています。」 甲氏:「難しいですねえ。[ B ] 事項とは何でしょうか。」 あなた:「契約の一方当事者が、相手方当事者に対し、一定の行為を行う、又は行わないことを約束し、又はその義務を負うことです。大きく分けてクロージング前のものとクロージング後のものがあります。今回の契約書です と、Y社がクロージングまで、Z社を適切に経営していくことなどがこれに該当します。」 甲氏:「やっぱり、難しいですねえ。」 あなた:「うまく説明できなくてすみません。これらを理解するには、[ A ]や[ B ] 事項に違反した場合にどういう効果が発生するのかを考えると分かりやすいかもしれません。まず、クロージング前に[ A ] 違反や[ B ] 事項違反が発覚した場合には、一方当事者が違反した当事者に対し、①取引の実行拒否、②契約の解除及び③損害の補償請求を求めることができると契約書に定めることが多いです。他方、クロージング後に違反が発覚した場合については、①から③までのうち、[ E ] のみ認められると契約書に定めることが多いです。」 甲氏:「なるほど。ようやく理解できました。買主である当社としては、契約締結後に取引を取り止めたい事由や契約を解除したい事由、Y社に損害を補償してもらいたいと考えるケースについてY社の[ A ]や[ B ] 事項として契約書に定めておけばいいわけですね。」 あなた:「そのとおりです。」 会話の中の空欄A、B及びEに入る語句の組み合わせとして最も適切なものは どれか。
Q 26 : 以下の会話は、中小企業診断士であるあなたとX株式会社 (以下「X社」という。)の代表取締役甲氏との間で行われたものである。現在、X 社は、Y株式会社 (以下「Y社」という。)との間で、Y社の完全子会社であるZ株式会社 以下「Z社」という。)の全株式の買取りに向けた交渉を行っている。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。 甲氏:「今、わが社によるZ社株式の買取りについての契約書を読んでいるのですが、見慣れない用語が飛び交っていて正直よく分かりません。」 あなた:「確かに、株式譲渡契約は、売買、賃貸、請負といった、企業間の商取引とは異なる構造になっているので、慣れないと難しいですよね。これらの契約には、[ A ] や[ B ] 事項といった[ C ] 系の概念が用いられており、[ D ] 系に属する日本にはなじみにくいところがあります。」 甲氏:「まず、クロージングとは何でしょうか。」 あなた:「取引の実行のことですね。通常、契約書を締結してから、取引を実行するまでに間隔が空くので、クロージングという概念がでてきます。株式譲渡の場合でいうと、売主から買主への株主権の移転と買主から売主への株式譲渡代金の支払ということになります。」 甲氏:「なるほど。[ A ] とはどういうことでしょうか。」 あなた:「株式譲渡の場合だと、契約の一方当事者が、相手方当事者に対し、株式やその株式を発行している株式会社の状況などについて、契約書締結時やクロージング時などの一定の時点において、一定の事項が真実かつ正確であることを[ A ]するものです。今回の契約書ですと、Y社が御社に対して、Z社において未払い残業代がないことなどを[ A ] しています。」 甲氏:「難しいですねえ。[ B ] 事項とは何でしょうか。」 あなた:「契約の一方当事者が、相手方当事者に対し、一定の行為を行う、又は行わないことを約束し、又はその義務を負うことです。大きく分けてクロージング前のものとクロージング後のものがあります。今回の契約書です と、Y社がクロージングまで、Z社を適切に経営していくことなどがこれに該当します。」 甲氏:「やっぱり、難しいですねえ。」 あなた:「うまく説明できなくてすみません。これらを理解するには、[ A ]や[ B ] 事項に違反した場合にどういう効果が発生するのかを考えると分かりやすいかもしれません。まず、クロージング前に[ A ] 違反や[ B ] 事項違反が発覚した場合には、一方当事者が違反した当事者に対し、①取引の実行拒否、②契約の解除及び③損害の補償請求を求めることができると契約書に定めることが多いです。他方、クロージング後に違反が発覚した場合については、①から③までのうち、[ E ] のみ認められると契約書に定めることが多いです。」 甲氏:「なるほど。ようやく理解できました。買主である当社としては、契約締結後に取引を取り止めたい事由や契約を解除したい事由、Y社に損害を補償してもらいたいと考えるケースについてY社の[ A ]や[ B ] 事項として契約書に定めておけばいいわけですね。」 あなた:「そのとおりです。」 会話の中の空欄C及びDに入る語句の組み合わせとして最も適切なものはどれ か。
Q 38 : 次のa〜eの著作物の利用行為のうち、著作権者の許諾なしに行った場合、著作権法の下で、①「刑事罰の対象となることもあり得るもの」、②「刑事罰はないが民事上違法となり得るもの」、③「適法なもの」の組み合わせとして最も適切なものを、下記の解答群から選べ。 a 個人的に視聴する目的で、映画DVDのアクセスガードを解除して内容をコピーする行為 b 企業活動のPRに使用されている動物をデフォルメした「ゆるキャラ」の顔のデザインは変えないままで、その体中の毛をむしり取られて丸裸にされているという状況を表現した画像を、企業としての事業活動とは無関係な当該企業の社長の個人的活動を批判する目的で、自分のブログにアップロードする行為 c 有料音楽ファイルのコピーを違法にアップロードしたサイトと知りながら、当該サイトから個人的に楽しむ目的で音楽ファイルをダウンロードする行為 d 企業における研究開発業務の参考資料として新聞や書籍、雑誌をコピーしたPDFファイルを、すべての事業所の従業員がアクセスし、閲覧できるサーバーコンピューターに保存する行為 e クールビズの時期に撮影した従業員の集合写真で、うち 人が着たTシャツにプリントされた漫画キャラクターが小さく写り込んでいるものを、画像処理をしないまま当該企業の職場紹介のホームページにアップロードする行為
Q 41 : 中小企業診断士であるあなたと、顧客であるSNS( ソーシャル・ネットワーキング・サービス)運営会社の社長甲氏との以下の会話を読んで、下記の設問に答えよ。 甲氏:「今度、当社のSNS事業を、乙社に譲渡することになりました。」 あなた:「やはり、最近外資系のSNS サイトや無料通話アプリに押され気味でしたものね。」 甲氏:「これからいろいろ面倒な手続があるみたいですけど。」 あなた:「そうですね、譲渡資産の帳簿価額が御社の総資産額の[ A ] であれば、株主総会の[ B ] による事業譲渡契約の承認が必要ですし、従業員の雇用の引継ぎについても、[ C ] が適用されるのは[ D ] の場合ですから、事業譲渡では原則に戻って労働者から個別に乙社への移籍について同意を得る必要があります。」 甲氏:「知的財産の権利関係はどうなりますか。当社は独自開発したSNSの機能について特許を複数取得しており、その一部はSNSの運用ソフトウェアやデザインの著作権とまとめてライセンスに出しているんですが。」 あなた:「特許については登録をしなくてもライセンシーが乙社に通常実施権を対抗できます。著作権については、登録制度はライセンシーから乙社に対して利用権を対抗するための①[a.手段ではない/b.手段となる]ので、ライセンシーが利用を継続するには②[c.利用権の登録/d.乙社の許諾]が必要です。」 会話の中の空欄A〜Dに入る語句の組み合わせとして最も適切なものはどれか。
Q 42 : 中小企業診断士であるあなたと、顧客であるSNS( ソーシャル・ネットワーキング・サービス)運営会社の社長甲氏との以下の会話を読んで、下記の設問に答えよ。 甲氏:「今度、当社のSNS事業を、乙社に譲渡することになりました。」 あなた:「やはり、最近外資系のSNS サイトや無料通話アプリに押され気味でしたものね。」 甲氏:「これからいろいろ面倒な手続があるみたいですけど。」 あなた:「そうですね、譲渡資産の帳簿価額が御社の総資産額の[ A ] であれば、株主総会の[ B ] による事業譲渡契約の承認が必要ですし、従業員の雇用の引継ぎについても、[ C ] が適用されるのは[ D ] の場合ですから、事業譲渡では原則に戻って労働者から個別に乙社への移籍について同意を得る必要があります。」 甲氏:「知的財産の権利関係はどうなりますか。当社は独自開発したSNSの機能について特許を複数取得しており、その一部はSNSの運用ソフトウェアやデザインの著作権とまとめてライセンスに出しているんですが。」 あなた:「特許については登録をしなくてもライセンシーが乙社に通常実施権を対抗できます。著作権については、登録制度はライセンシーから乙社に対して利用権を対抗するための①[a.手段ではない/b.手段となる]ので、ライセンシーが利用を継続するには②[c.利用権の登録/d.乙社の許諾]が必要です。」 会話の中の下線部①と②について、正しい発言の組み合わせとして最も適切なものはどれか。
Q 47 : 以下のあなたと社長の会話の中の空欄AとBに入る語句の組み合わせとして最も適切なものを、下記の解答群から選べ。 社長:「先日アドバイスをもらって銀行に提出した[ A ] の実績がどうなっているか、説明を求められているのだが。」 あなた:「銀行の担当者も内部での説明義務があるのですよ。」 社長:「説明義務?何を説明するのかな。」 あなた:「御社は債務超過が続き、借入金のリスケジュールをしてもらっていますよね。銀行としては、金融庁の金融検査マニュアルに基づいて、御社の債務者区分を破綻懸念先にしているかもしれません。」 社長:「破綻懸念先。冗談じゃない。そうなるとどうなるの?」 あなた:「破綻懸念先に対する貸付金は不良債権として取り扱われます。」 社長:「不良債権!とんでもない。今は少し苦しいけど新しい取引先も増えてきて、来年からは業績も好転するのに。」 あなた:「それを示すのが[ A ] なんです。担当者はそれが合理的で実行可能であれば、その区分を破綻懸念先ではなく[ B ] としてよいからなのです。」 社長:「担当者にはうちの状況は理解してもらっているとは思っているが、進捗についてももう少し話しておいたほうがよいな。」
Q 51 : 株主管理のコストに関する以下の会話は、中小企業診断士であるあなたと、顧客である株式会社の代表取締役甲氏との間で、平成24年 6月 6日に行われたものである。その前提で、会話中の空欄に当てはまる語の組み合わせとして、最も適切なものを下記の解答群から選べ。 甲氏:「実は、当社では、株主管理のためのコストが問題となっていまして…。」 あなた:「御社の株主の状況はどうなっていましたっけ。」 甲氏:「この書面のとおりです。」 あなた:「ええっ、本当ですか…。この1株ずつ持っている500名はどういった人ですか 。」 甲氏:「取引先の経営者かその関係者です。何十年も前に、取引先にも株を持ってもらおうということで、先代の社長が実施しまして、当社は資本金が5,000万円しかないのに、株主は約500名という形になりました。これでも当初は取引先とも関係がよくなるなどメリットは多かったのですが、その後の長い間に取引先も代替わりや廃業などがあって、現在では、メリットは失われ、毎年の株主総会の招集通知を送るコストだけでもばかにならないよという話になってきまして。」 あなた:「なるほど。そうしますと、[A] あるいは[B] を利用することが考えられると思います。」 甲氏:「そうするとどうなるのですか。」 あなた:「どちらでも、例えば、今の10 株を1つのまとまりにしてしまう、といったことができます。そうすると、その他500 名の方に、株主総会の招集通知を送る必要がなくなります。」 甲氏:「2つの方法では何が違うのですか。」 あなた:「[A] の場合、これらの500 名の方は、最終的には、お金が支払われ、御社の株主ではなくなります。[B] の場合は、買取請求をされたりした場合には株主でなくなりますが、そうでなければ、これらの500名の方も株主であり続けます。」 甲氏:「今年の招集通知を送らなくても済む方法を使いたいのですが。」 あなた:「残念ながら、どちらの方法も、株主総会での特別決議がないと実施できないので、最短でも、今回の総会で承認決議をしてからということになります。」 【甲氏が持参した書面】 当社株式 合計 1万株 (内訳) 甲6,200 株 X氏2,200 株 Y氏1,000 株 Z 氏100 株 その他500名 各1株
Q 52 : いわゆる濫用的会社分割に関する以下の会話は、中小企業診断士であるあなたと、顧客であるX株式会社の代表取締役甲氏との間で行われたものである。X株式会社がA設備株式会社に対して売掛金を請求する場合の法的根拠として、最も適切なものを下記の解答群から選べ。なお、以下の会話中、A社とはA株式会社のことをいう。  甲氏:「取引先のA社から、支払いがなくなったんですよ。それであわてて、A社の本社に行ってみたら、A社という会社の看板はなくなっていて、代わりに、A社と全く同じ設備、同じ人で、名前だけがA設備株式会社という名前になって、同じ営業をしていたんです。それでどういうことだと思って話を聞いてみたら、会社分割という方法を使って、今度からはA設備株式会社がここで営業をする、と言うんですよ。それなので、うちの売掛金も払ってもらえるもんだと思って話をしてみたら、A設備株式会社は、A社とは別の会社だから支払えない、A 社は閉めてしまった、と言うんです。」 あなた:「それはやられましたね。濫用的会社分割などと言われているものだと思います。」 甲氏:「濫用的会社分割…。それはどういったものですか。」 あなた:「資産を別会社に移して、従来の負債はそのまま元の会社に残しておいて、実質的に債務を免れるものです。」 甲氏:「どうしてそんなことができるんですか。債権者に連絡したりしないといけないんじゃないですか。」 あなた:「元の会社が負債の全部の支払を引き受けるときには、元の会社の債権者への連絡はいらないんですよ。今回の場合も、A社が全部の債務を負うということにしていれば、何の連絡もなく、会社分割ができてしまうんですよ。」  甲氏:「そうすると、彼らの言うとおり、もうA設備株式会社には請求ができないということですか。」 あなた:「いえ、必ずしもそうではありません。何か方法があるはずです。知り合いの弁護士を紹介しますから相談してみてください。」
Q 54 : 中小企業診断士であるあなたと、顧客である甲氏との間の遺産分割に関する以下の会話を読んで、あなたの回答として空欄に当てはまる最も適切なものを下記の解答群から選べ。 甲氏:「実は、私の友人のAさんに私の会社から300万円貸していたんですよ。ところが、そのAさんは、 1年ほど前に亡くなってしまって…。Aさんの奥さんはもうお亡くなりになっているんですが、息子さんが2人いるんです。それで、たまたま、次男のほうは、大きな会社に勤める人で知っていたものですから、Aさんに貸したお金を返して欲しいという話を3 か月くらい前にしに行ったんですよ。 そうしたら、その次男が言うには、去年の夏に、長男と次男で、遺産分割協議をして、全部長男が相続することになった、だから、自分は支払う必要はないはずだ、って言うんですよ。それで、その次男からは、司法書士に作ってもらったという遺産分割協議書も見せられたんですが、確かに、長男と次男の連名で実印も押してあって、長男が全部相続して次男は何も相続しないことになっていたんです。 ですので、先日、長男の家を訪ねたのですが、長男はリストラにあってしまって、お金がないので、返したくても返せないと言うんですよ。 次男は、大きな会社に勤めているので、返す能力はあると思うのですが、次男に請求することはできないんでしょうかね…。」 あなた:「□。弁護士を紹介しますからご相談されてはいかがですか。」
Q 58 : 以下の記述は、ある条約に関するものである。この条約の名称として最も適切なものを下記の解答群から選べ。 この条約について日本は1978年7月1日に加入書を寄託しており、同年10 月1日付で日本について効力を発生した。 この条約に基づく国際出願とは、ひとつの出願書類をその規則に従って提出することにより、加盟国であるすべての国(2011年9 月1日現在144カ国)に同時に出願したことと同じ効果が得られる。しかし、出願人が特許を取得したい国を指定国として願書に記載をするのが通例である。  ある発明に対して特許権を付与するか否かの判断は、各国がそれぞれの特許法に基づいて行う。従って、特定の国で特許を取得するためには、その国に対して直接、特許出願を行うことが必要となる。 経済と技術のボーダレス化を背景として、多くの国で製品を販売したい、模倣品から自社製品を保護したい、等の理由から特許を取得したい国の数は増加する傾向にある。特許を取得したいすべての国に対して個々に特許出願を行うことはとても煩雑であり、更に先願主義のもと、特許出願は一日でも早く行うことが重要である。たとえ、出願日を早く確保しようとしても、すべての国に対して同日に、それぞれ異なった言語を用いて異なった出願書類を提出することは、ほぼ不可能といえる。  この条約による国際出願では、国際的に統一された出願書類を加盟国である自国の特許庁に対して 1通だけ提出すれば、その国際出願はすべての加盟国に対して「国内出願」を出願したことと同じ扱いを得ることができる。しかしながら、この条約では、あくまでも出願手続きを簡素化したものに過ぎず、特許要件の審査は、各国毎の特許法により行われるものであり、いわゆる「世界特許」ではないことに注意を要する。
Q 63 : 特許権を取得した会社の専務取締役甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間の、特許権のライセンスに関する以下の会話を読んで、下記の設問に答えよ。 甲氏:「知財担当の主任から聞きましたが、平成24年4月から特許法の改正法が施行されて、特許権のライセンスについて登録制度が変更されたそうですね。」 あなた:「はい。特許権の[A] の設定を受けたライセンシーが、特許権を譲り受けた第三者に自らの権利を対抗するため、これまでは特許庁にその権利の登録をする必要がありました。今後、ライセンシーは登録なしで[A] を特許権の譲受人に対して当然に対抗できることになります。」 甲氏:「当社はライセンシー側でもありますが、登録制度を利用していませんでした。」 あなた:「また、破産手続のことを考えると、破産管財人は破産手続開始時点で[B] である破産者・第三者間の双務契約を解除できるのが原則ですが、ライセンス契約においては、たとえ[C] が破産しても[A] について対抗要件が備わっていれば、破産管財人は[A]の設定契約を解除できません。今回の特許法改正により、特許権者から[A] の設定を受けたライセンシーはその後特許権者が破産しても、破産管財人に当然に対抗できます。ライセンスを受けた技術を安心して利用し続けられますし、特許権のライセンスビジネスでの活用の幅も広がります。」 甲氏:「だけど、せっかく第三者が特許権を買い取っても、特許庁の登録を見ても分からないライセンシーへのライセンスを打ち切れないわけですよね。それって特許権を活用したファイナンスとかM&Aの妨げになりませんか。」 あなた:「企業買収の際には、買収企業側が被買収企業側にデュー・ディリジェンスを実施し、被買収企業側からの『Š開示したライセンシーがすべてであり、開示されないライセンシーは存在しない‹』という[D] 条項をおけば、買収側としては一応のリスク回避が可能です。ただ、おっしゃるとおり、隠れたライセンシーの存在やライセンス日付のバックデートの可能性が、特許権を活用した資金調達のマイナス要因になりかねないという指摘はあります。」 甲氏:「それに、特許権の譲渡後に譲渡人が新たなライセンシーとライセンス契約を結んでしまったりした場合、ライセンシーは[A] を特許権の譲受人に主張できますか。」 あなた:「特許法の条文上は、ライセンシーは[E] 後に特許権を取得した第三者にその権利の効力を主張できますから、[F] が特許権の移転登録より先であれば、[A] の方が優先します。」 会話中の空欄A〜Cに入る語句の組み合わせとして最も適切なものはどれか。
Q 64 : 特許権を取得した会社の専務取締役甲氏と、中小企業診断士であるあなたとの間の、特許権のライセンスに関する以下の会話を読んで、下記の設問に答えよ。 甲氏:「知財担当の主任から聞きましたが、平成24年4月から特許法の改正法が施行されて、特許権のライセンスについて登録制度が変更されたそうですね。」 あなた:「はい。特許権の[A] の設定を受けたライセンシーが、特許権を譲り受けた第三者に自らの権利を対抗するため、これまでは特許庁にその権利の登録をする必要がありました。今後、ライセンシーは登録なしで[A] を特許権の譲受人に対して当然に対抗できることになります。」 甲氏:「当社はライセンシー側でもありますが、登録制度を利用していませんでした。」 あなた:「また、破産手続のことを考えると、破産管財人は破産手続開始時点で[B] である破産者・第三者間の双務契約を解除できるのが原則ですが、ライセンス契約においては、たとえ[C] が破産しても[A] について対抗要件が備わっていれば、破産管財人は[A]の設定契約を解除できません。今回の特許法改正により、特許権者から[A] の設定を受けたライセンシーはその後特許権者が破産しても、破産管財人に当然に対抗できます。ライセンスを受けた技術を安心して利用し続けられますし、特許権のライセンスビジネスでの活用の幅も広がります。」 甲氏:「だけど、せっかく第三者が特許権を買い取っても、特許庁の登録を見ても分からないライセンシーへのライセンスを打ち切れないわけですよね。それって特許権を活用したファイナンスとかM&Aの妨げになりませんか。」 あなた:「企業買収の際には、買収企業側が被買収企業側にデュー・ディリジェンスを実施し、被買収企業側からの『Š開示したライセンシーがすべてであり、開示されないライセンシーは存在しない‹』という[D] 条項をおけば、買収側としては一応のリスク回避が可能です。ただ、おっしゃるとおり、隠れたライセンシーの存在やライセンス日付のバックデートの可能性が、特許権を活用した資金調達のマイナス要因になりかねないという指摘はあります。」 甲氏:「それに、特許権の譲渡後に譲渡人が新たなライセンシーとライセンス契約を結んでしまったりした場合、ライセンシーは[A]を特許権の譲受人に主張できますか。」 あなた:「特許法の条文上は、ライセンシーは[E] 後に特許権を取得した第三者にその権利の効力を主張できますから、[F] が特許権の移転登録より先であれば、[A] の方が優先します。」 会話中の空欄D 〜Fに入る語句の組み合わせとして最も適切なものはどれか。
Q 67 : 電子部品メーカーX株式会社(以下「X社」という。)の資金調達に関する、X社社長甲氏と中小企業診断士であるあなたとの間の以下の会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、あなたの発言の下線部①〜④のうち、2つには誤りが含まれている。 甲氏:「この間、メインバンクから、大口の取引先への売掛金を、現在掛売りしている分だけでなく、今後発生する取引の分もまとめて担保に差し出せと言われたんだけど、そんなことできるの。」 あなた:「集合債権の譲渡担保という方法があります。担保提供を受けた銀行は、[A] 登記に加えて、登記事項証明書交付による[B] がされれば、他の債権者に対しても売掛先に対しても、将来発生する売掛債権も含めて、担保権者として優先弁済を受ける権利を主張できます。①つまり、担保権者は、融資先の期限の利益が喪失した時点で少なくとも具体的に発生している売掛債権については、融資先に担保権の実行通知を出して売掛債権の取得や処分ができますし、弁済期の到来した売掛先には直接取立てができるので、一般債権者に優先して債権回収ができます。」 甲氏:「へえ、そうなんだ。あと、同業のY社は代理店になっているメーカーの意向で、電子手形というのを始めたらしいんだけど、これって要するに紙の手形が要らなくなるってやつでしょ。」 あなた:「そうですね。紙の手形の代わりに、[C] の電子記録で債権の発生や譲渡が管理されるので、債権管理のコスト削減にもつながりますし、コンピュータのセキュリティを確保しておけば、紙の手形のような証券の紛失・盗難や偽造のリスクもありません。 ②債務者が電子記録名義人に支払いさえすれば重大な過失がない限り免責されることや、金融機関に持ち込んで割引を受けるときに債権金額の分割ができないことは、紙の手形と同様です。」 甲氏:「資金調達の手段が便利になったのはいいけど、作った製品が売れないことには借金を返すめども立たん。わが社はガラケー(※ガラパゴス携帯電話)全盛時代に専用設備の投資にシフトし過ぎたから、Y社のようにスマホ(※スマートフォン)のタッチパネル製造用に機械を更新する資金的な余裕もない。このままだと資金ショートで即アウトになりかねないから、何とか会社を生き残らせるために、民事再生とかも考えないと。」 あなた:「そうですね。③民事再生であれば、再生手続開始後も会社の業務遂行権や財産の管理処分権は維持されますから、経営者自身が企業の再建を進めていけるのが原則です。裁判所によって選任された監督委員の同意が必要な行為もありますけどね。あと、④民事再生手続が開始されれば、債権譲渡担保のような担保権についても、再生手続の中に組み込まれ、担保権者は届出をして再生手続に参加しない限り、担保権を実行することができませ ん。」 会話中の空欄A〜Cに入る語句の組み合わせとして最も適切なものはどれか。
Q 68 : 電子部品メーカーX株式会社(以下「X社」という。)の資金調達に関する、X社社長甲氏と中小企業診断士であるあなたとの間の以下の会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、あなたの発言の下線部①〜④のうち、2つには誤りが含まれている。 甲氏:「この間、メインバンクから、大口の取引先への売掛金を、現在掛売りしている分だけでなく、今後発生する取引の分もまとめて担保に差し出せと言われたんだけど、そんなことできるの。」 あなた:「集合債権の譲渡担保という方法があります。担保提供を受けた銀行は、[A] 登記に加えて、登記事項証明書交付による[B] がされれば、他の債権者に対しても売掛先に対しても、将来発生する売掛債権も含めて、担保権者として優先弁済を受ける権利を主張できます。 ①つまり、担保権者は、融資先の期限の利益が喪失した時点で少なくとも具体的に発生している売掛債権については、融資先に担保権の実行通知を出して売掛債権の取得や処分ができますし、弁済期の到来した売掛先には直接取立てができるので、一般債権者に優先して債権回収ができます。」 甲氏:「へえ、そうなんだ。あと、同業のY社は代理店になっているメーカーの意向で、電子手形というのを始めたらしいんだけど、これって要するに紙の手形が要らなくなるってやつでしょ。」 あなた:「そうですね。紙の手形の代わりに、[C] の電子記録で債権の発生や譲渡が管理されるので、債権管理のコスト削減にもつながりますし、コンピュータのセキュリティを確保しておけば、紙の手形のような証券の紛失・盗難や偽造のリスクもありません。 ②債務者が電子記録名義人に支払いさえすれば重大な過失がない限り免責されることや、金融機関に持ち込んで割引を受けるときに債権金額の分割ができないことは、紙の手形と同様です。」 甲氏:「資金調達の手段が便利になったのはいいけど、作った製品が売れないことには借金を返すめども立たん。わが社はガラケー(※ガラパゴス携帯電話)全盛時代に専用設備の投資にシフトし過ぎたから、Y社のようにスマホ(※スマートフォン)のタッチパネル製造用に機械を更新する資金的な余裕もない。このままだと資金ショートで即アウトになりかねないから、何とか会社を生き残らせるために、民事再生とかも考えないと。」 あなた:「そうですね。③民事再生であれば、再生手続開始後も会社の業務遂行権や財産の管理処分権は維持されますから、経営者自身が企業の再建を進めていけるのが原則です。裁判所によって選任された監督委員の同意が必要な行為もありますけどね。あと、④民事再生手続が開始されれば、債権譲渡担保のような担保権についても、再生手続の中に組み込まれ、担保権者は届出をして再生手続に参加しない限り、担保権を実行することができません。」 会話中のあなたの発言の下線部①〜④のうち、正しい発言の組み合わせとして最も適切なものはどれか。