電子部品メーカーX株式会社(以下「X社」という。)の資金|中小企業診断士問題集

中小企業診断士

Q 68 : 
電子部品メーカーX株式会社(以下「X社」という。)の資金調達に関する、X社社長甲氏と中小企業診断士であるあなたとの間の以下の会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、あなたの発言の下線部①〜④のうち、2つには誤りが含まれている。 甲氏:「この間、メインバンクから、大口の取引先への売掛金を、現在掛売りしている分だけでなく、今後発生する取引の分もまとめて担保に差し出せと言われたんだけど、そんなことできるの。」 あなた:「集合債権の譲渡担保という方法があります。担保提供を受けた銀行は、[A] 登記に加えて、登記事項証明書交付による[B] がされれば、他の債権者に対しても売掛先に対しても、将来発生する売掛債権も含めて、担保権者として優先弁済を受ける権利を主張できます。 ①つまり、担保権者は、融資先の期限の利益が喪失した時点で少なくとも具体的に発生している売掛債権については、融資先に担保権の実行通知を出して売掛債権の取得や処分ができますし、弁済期の到来した売掛先には直接取立てができるので、一般債権者に優先して債権回収ができます。」 甲氏:「へえ、そうなんだ。あと、同業のY社は代理店になっているメーカーの意向で、電子手形というのを始めたらしいんだけど、これって要するに紙の手形が要らなくなるってやつでしょ。」 あなた:「そうですね。紙の手形の代わりに、[C] の電子記録で債権の発生や譲渡が管理されるので、債権管理のコスト削減にもつながりますし、コンピュータのセキュリティを確保しておけば、紙の手形のような証券の紛失・盗難や偽造のリスクもありません。 ②債務者が電子記録名義人に支払いさえすれば重大な過失がない限り免責されることや、金融機関に持ち込んで割引を受けるときに債権金額の分割ができないことは、紙の手形と同様です。」 甲氏:「資金調達の手段が便利になったのはいいけど、作った製品が売れないことには借金を返すめども立たん。わが社はガラケー(※ガラパゴス携帯電話)全盛時代に専用設備の投資にシフトし過ぎたから、Y社のようにスマホ(※スマートフォン)のタッチパネル製造用に機械を更新する資金的な余裕もない。このままだと資金ショートで即アウトになりかねないから、何とか会社を生き残らせるために、民事再生とかも考えないと。」 あなた:「そうですね。③民事再生であれば、再生手続開始後も会社の業務遂行権や財産の管理処分権は維持されますから、経営者自身が企業の再建を進めていけるのが原則です。裁判所によって選任された監督委員の同意が必要な行為もありますけどね。あと、④民事再生手続が開始されれば、債権譲渡担保のような担保権についても、再生手続の中に組み込まれ、担保権者は届出をして再生手続に参加しない限り、担保権を実行することができません。」 会話中のあなたの発言の下線部①〜④のうち、正しい発言の組み合わせとして最も適切なものはどれか。
1
下線部①と下線部②
2
下線部①と下線部③
3
下線部②と下線部④
4
下線部③と下線部④
解説

ア - ×

イ - ○ 正解 下線部②について、債権金額の分割はでき、下線部④について、譲渡担保権者は再生手続きに参加しなくても良い。よって、②、④が誤りで、下線部①、③の内容は正しい内容である。

ウ - ×

エ - ×