保育士
Q 53 :
次の保育所での【事例】を読んで、【設問】に答えなさい。【事例】S君(6か月)は、第一子であり、母親が仕事に復帰するために入所してきた。同じクラスの同月齢のTちゃんはS君よりも身体が大きく、動きも活発だった。S君の母親は、S君の身体が小さいので発達も遅いのではないかと心配し、授乳時間と授乳量を何度も繰り返し確認し、時間通りに授乳して全量を飲ませてほしいと要求した。S君は小柄だが、身長・体重は標準の範囲内で、園ではS君の成長・発達について心配はないと考えている。このことを説明して、それぞれの子どものリズムに合わせた授乳が適していることや、発達には個人差があることを伝えている。しかし母親は、翌日も同じことを尋ね、このやりとりが1週間、繰り返された。【設問】入所後まもないこの段階で、保育所が行う対応として、適切な記述を○、不適切な記述を×とした場合の正しい組み合わせを一つ選びなさい。A母親の要求通り、定時に全量を飲ませる。B母親に渡す記録には時間通りに全量を飲ませたことを記し、実際には子どもに応じた授乳を続ける。C子どもの体重と授乳量をグラフにしてわかりやすくしたり、嘱託医によるコメントを伝えるなど、母親が納得できるように工夫しながらやりとりをする。D送迎時などに、母親が子育てへの不安や心配を話すことができるように配慮する。E母親の精神の不安定を疑い、母親に既往歴を尋ねる。
解説
A - × 園では「それぞれの子どものリズムに合わせた授乳が適していること」を認識しているにもかかわらず、母親の要求に従って言いなりになるのは、専門的な保育をしているとはいえず、不適切な対応である。
B - × 虚偽の記録をつけることは、相談及び支援の前提となる信頼関係を築くことに反しており、不適切である。
C - ◯ 子育ての不安を解消するために、母親を援助することもまた、保育所がすべき支援である。母親が納得できるような工夫を行うことは適切な対応である。
D - ◯ 母親を支援するにあたり、送迎時などに気軽に相談にのれる体制を整えることは、適切な対応といえる。
E - × やみくもに既往歴を尋ねることで母親との信頼関係を壊す可能性もあり、不適切である。入所後まもない時期は特に不安になりやすいので、母親の状況をしっかりと理解して、支援していくことが大切である。