社会福祉士
平成24年度午後
Q
8 : Jさん(50歳,女性)は,夫と義父の3人暮らしで,1年前から寝たきりになった義父の介護を1人で行っていた。義父は要介護認定を受けており,何度か介護保険サービスの利用を勧められていたが夫は,介護は嫁の役割だからと断り,Jさんに任せていた。Jさん自身もそう思い,孤独でつらい生活を過ごしていた。民生委員のKさんは,そんなJさんを心配して,社会福祉協議会のL社会福祉士を紹介した。L社会福祉士は,事務所に訪れたJさんの話に耳を傾け,Jさんの忍耐強さや様々な工夫を認めて評価した。Jさんは,その後もL社会福祉士と話すうちに,自分が介護だけでなく,他のこともできるのではないかと思えるようになった。また,夫へのL社会福祉士の働きかけもあって,Jさんは夫とも介護について何度も話し合い,介護サービスを利用することになった。他の介護者とも交流するようになり,これからは自分と同じような思いをしている人達の支えになろうと考えている。次のうち,L社会福祉士が行った支援機能に当たるものとして,適切なものを2つ選びなさい。
Q
11 : 〔事例〕児童相談所のM児童福祉司は,主任児童委員からの通告がきっかけで,Nさん(3議)と2人の子ども(小3女児,小1女児)のひとり親家庭の支援を開始した。失業による経済的困難のために生活意欲を喪失し,子どものネグレクト状態が続いて,子どもたちは食事をとれないこともあった。M児童福祉司は,数回の家庭訪問を行った。子どもの状態は変わらない。Nさんは次第に心を聞いてくれ,子どもは自分でみること,福祉事務所には以前に相談に行ったが,二度と行きたくないことなどを語った。事例を読んで,M児童福祉司(社会福祉士)の対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
Q
16 : 〔事例〕Bさん(48歳,男性)は,専業主婦の妻(46歳),息子(17歳),娘(14歳)と4人暮らしである。Bさんは,優秀な会社員であり,家族関係も良好であった。ところがBさんは,半年くらい前から物忘れが増え,仕事のミスが目立ち,病院で検査をした結果,若年性の認知症であると告げられた。Bさんは自暴自棄になり,妻や2人の子どもに対して当たり散らすなど,家族関係は悪化した。妻から相談を受けた医療ソーシャルワーカーのA社会福祉士は,Bさんとその家族に対応した。事例を読んで,家族システムの視点に基づいたA社会福祉士の対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
Q
17 : 〔事例〕Dさん(59歳)は刑務所での生活が長かった。独身で身寄りはない。出所後のDさんの地域生活の支援は,相談支援事業所のC社会福祉士が担当している。療育手帳の発給を受けた後,Dさんは,現在,中学校時代の同級生が経営する会社で,廃品回収の職に就いている。社長はDさんのために,社長命令で若手社員をサポート役として付けた。しかし,Dさんは廃品回収の仕事をなかなか覚えることができず,知らない土地での寮暮らしのため精神的にも不安定になってしまった。DさんとC社会福祉士との信頼関係は構築されており定期的な面接のなかではDさんからの不満も聞いている。そして,最近では,頑固なDさんとサポート役の若手社員との関係も悪くなってきており,社長自身も困惑している。事例を読んで,C社会福祉士による生活モデルに基づいた対応に閲する次の記述のうち,この段階で最も適切なものを1つ選びなさい。
Q
21 : 〔事例〕障害者就労支援事業所のE社会福祉士は,就労後の職場での適応,定着を図るために,共通の課題をもつ知的障害のある若い利用者のグループで社会生活技能訓練を行っている。参加者のFさん(30歳,男性)は清掃作業を行う会社に就職し,3か月が過ぎたところである。派遣されたビルでの清掃の手順等も覚えて慣れてきたが,同僚や上司,派遣先の人とどう接していいのか分からず,疎外感をもち大変悩んでいた。このままでは人間関係が苦痛で仕事に行けなくなるという不安や,挨拶が大変苦手でありそれを克服したいという気持ちをもち,社会生活技能訓練を行うこのグループに参加している。事例を読んで,E社会福祉士によるFさんへの援助に関する次の記述のうち,社会生活技能訓練に基づく支援として最も適切なものを1つ選びなさい。
Q
22 : 〔事例〕ドメスティック・バイオレンスの被害者を支援する特定非営利活動法人に勤めるG相談員は,ある日,事務所に初めて電話をかけてきた女性による電話相談を受けた。この女性は60代で,現在,夫と二人暮らしをしている。最近,数年前に定年退職した夫がささいなことで怒り出すことがあるのだという。昨日も料理のことでいきなり怒り出し,口論となった末,暴言を浴びせられたとのことである。女性は,遠方に住む息子をはじめ,友人や親族にも相談できず,誰かに話を聞いてもらいたくて,この特定非営利活動法人に電話してきた。事例を読んで,G相談員(社会福祉士)の対応に関する次の記述のうち,この時点で最も適切なものを1つ選びなさい。
Q
23 : 〔事例〕アルバイトで生計を立てていた一人暮らしのJさん(48歳,男性)は,ある夜,酔って駅の階段から転落して足を骨折し,総合病院に救急搬送された。入院中に肝機能障害と診断された。現在は生活保護を受けてアパートで暮らしており,通院治療を受けている。ある日,Jさんは大量に飲酒し,せっかく見つけた仕事を失い,アルコール依存症との診断を受けた。また,最近では隣人ともたびたび口げんかをするようになった。主治医からの連絡を受けたHソーシャルワーカーは支援を行うこととした。Jさんはアパートで一人暮らしを続けていくことを希望している。事例を読んで,総合病院のHソーシャルワーカー(社会福祉士)の対応に関する次の記述のうち,この段階で最も適切なものを1つ選びなさい。
Q
24 : 〔事例〕Lさん(85歳,女性)は,3年前に脳梗塞を患ってから半身麻痺となり,自宅での生活を断念してP特別養護老人ホームに入所している。現在,要介護4の判定を受けており,ほぼ寝たきりの状態であるが,認知機能は比較的保たれており,日常的な会話は行うことができる。最近,長男夫婦から病院に入院していた夫が亡くなったことを聞き,ため息をついては「夫を弔いたい」と訴えている。K生活相談員は,ケアワーカーから様子を見てほしいという依頼を受け,ベッドサイドでLさんの手を軽く握りながら,「おつらいですね・・,」と話しかけた。Lさんは涙をうかべながら,「夫の最期のときに何もしてあげられなかった。私がこうして生きているのが申し訳ない」と語り始めた。事例を読んでK生活相談員(社会福祉士)によるグリーフケアに関する次の記述のうち,この段階で最も適切なものを1つ選びなさい。
Q
25 : 〔事例〕エイズ治療拠点病院に勤めるMソーシャルワーカーは,日常的にHIV感染者やエイズ患者にかかわることが多い。HIV感染を告知された人の多くは,ショックを受け,絶望感を感じ,不安にさいなまれる。Mソーシャルワーカーは,これまで,そのようなクライエントへの支援として危機介入を行ってきた。Mソーシャルワーカーは,自分の危機介入のあり方が本当に役立つているのか確認するために,病院の倫理審査委員会に諮った上で,効果測定を行うことにした。事例を読んで,Mソーシャルワーカー(社会福祉士)の効果測定に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
Q
27 : 〔事例〕A子(1歳)は,半年前から不登校の状態にある。成績がよく,友人関係も良好なA子が不登校になる原因は,特に見当たらない。しかし家族や小学校の担任が何度通学を促しでも,A子は学校に行こうとはしなかった。不登校児支援の特定非営利活動法人に勤務するN社会福祉士は,家族の依頼を受けて,A子の自宅を初めて訪問した。A子は,最初は何も話さなかったが,少しずつ自分の家族について話し始めた。事例を読んで,N社会福祉士のとるべき対応に関する次の記述のうち,この段階で最も適切なものを1つ選びなさい。
Q
28 : 地域包括支援センターのB社会福祉士は,一人暮らしのCさん(70歳,女性)が足首の骨折の治療を終え,自宅で生活していることを知った。Cさんは介護予防ケアマネジメントの対象となっている。B社会福祉士は,電話連絡の上,家庭訪問を行い,Cさんの話を聴くとともに介護予防プログラム等の説明を行った。Cさんは再度の骨折を恐れており,介護予防プログラムへの参加を希望した。しかし家からの交通の使が悪く,移動手段がないということで利用が困難であった。B社会福祉士は,Cさんの希望が強いこともあり,また必要なプログラムであると考え,地域のボランティアグループに送迎サービスの実施を依頼し,プログラムの利用を実現した。次のうち,B社会福祉士が行ったケアマネジメントの実践モデルとして,最も適切なものを1つ選びなさい。
Q
29 : 〔事例〕U市の児童福祉課のD相談員に,子育て支援センターの保育士から,育児不安気味の母親が相談を希望しているという連絡が入った。D相談員はすぐに自宅に出向き,Eさん(33歳)が長男(2か月)を出産後,うつ状態で,外出もあまりできないこと,近くに頼れる人がいないこと,夫は仕事が多忙で育児に協力的でないことなどの話を聞いて,援助が必要と判断した。相談員はすぐにネットワーク会議を聞き,市保健センター保健師,子育て支援センター保育士,主任児童委員を集めて,援助方針を協議し,各々の役割分担を検討した。事例を読んで,相談員(社会福祉士)の対応に関する次の記述のうち,この段階における対応で,より適切なものを2つ選びなさい。
Q
32 : 〔事例〕昨年7月に,児童館で行っている子育て講座をきっかけにメンバー8人の子育てサークルができあがった。児童館は,その後の活動拠点ともなっている。F職員は,サークルの運営について相談に乗るとともに,様々な子育て支援情報の提供を行い,グループワーカーとしてグループ活動に関与してきた。この結果,グループ内での相互作用が高まり,多様な働きかけのなかで得た成果にメンバーは満足し,グループワークは成功したように思えた。しかし,子どもたちの幼稚園入園とともにサークル活動も終了する段階になると,メンバーの何人かが,F職員に子どもの養育などについての不安を個別に表明してきた。事例を読んで,児童館のF職員(社会福祉士)によるグループワークの終結期における対応に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。
Q
45 : 〔事例〕訪問介護を終え指定訪問介護事業所に戻ったL訪問介護員は,Mサービス提供責任者(介護福祉士)に訪問先での出来事について話した。「Nさん(84歳,女性)は軽度の左半身麻揮があり,今までテーブルに手をついて立位ができていたが,最近,筋力の低下が見られ,今日は,車いすからいす(キャスター付き)への移乗を行った際に崩れ落ちそうになり,自分も一緒に転倒しそうになった」という。事例を読んで,指定訪問介護事業者のMサービス提供責任者の対応に関する次の記述のうち,この時点で優先されるべきこととして最も適切なものを1つ選びなさい。
Q
51 : 〔事例〕市内の民生委員Bさんが,自分の担当地域に住むCさん(79歳,女性)についての相談で地域包括支援センターに来所し,A社会福祉士が対応した。相談によると,Cさんは生涯独身で,高校教師を定年まで勤めて退職した後も1人でW市内の自分名義のマンションで暮らしてきた。身内は他県に住む甥が1人いるが,ほとんど交流はないという。生活は自分の年金で賄えており,預貯金も多少はあるようだとのことであった。しかし,昨年夏に自宅浴室で転倒,骨折し,1か月ほど入院して自宅に戻ったが,その後自宅内の片付けや買物・外出もおっくうがり,近隣との付き合いも疎遠になってきている。介護サービスも利用していない。このまま自宅での生活を望んでいるが,どうしたらよいか,という相談であった。事例を読んで,W市の地域包括支援センターに勤務するA社会福祉士の対応に関する次の記述のうち,適切なものを2つ選びなさい。
Q
55 : 〔事例〕Dさん(40歳,男性)は,妻が行方不明になって1年,小学校6年生の長男に5歳の次男の保育所の送迎と留守番をさせて,なんとか1か月に10日間,朝5時に家を出て翌日朝5時に帰宅するという隔日勤務形態の仕事を続けてきた。けれども先日長男が,Dさんの夜間不在時に弟を留守番させて市内を徘徊し,補導されてしまった。最近はそうしたことがよくあったようだが,Dさんは全く気がつかなかった。Dさんは昼間の勤務にいずれ変更することを考えており,職場に相談したら,しばらくの間夜9時までの昼間勤務に切り替えてもらえることになった。Dさんは、子どもをできる限り手元において育てたいと考えている。事例を読んで,次の記述のうち,家庭児童相談室の相談員の助言として,最も適切なものを1つ選びなさい。