人間のニードをめぐる諸理論に関する次の記述のうち,正しい|社会福祉士問題集

社会福祉士

Q 25 : 
人間のニードをめぐる諸理論に関する次の記述のうち,正しいものを1つ選びなさい。
1
スミス(Smith,A,)は,「諸国民の富」(1776年)において,人間にとっての必需品は,どのような社会においても変わらない内容をもつものであると論じ,そのような共通性が自由競争市場の基盤であると主張した。
2
マルクス(Marx,K,)は,「ゴータ綱領批判」(1875年)において,人間のニード充足における資本主義の特性を論ずるなかで,人間のニードは個々人の能力に応じて充足されるべきであると主張した。
3
マズロー(Maslow,A,)は,「人間の動機の理論」(1943年)において,人間の基本的ニードが5種類の要素に分類され,それらは相互に関連しあっているために人聞は総合的な発達を遂げると論じた。
4
セン(Sen,A,)は,「財と潜在能力」(1985年)において,人間のニード充足を財の消費からもたらされる効用によって定義する学説を批判して,達成できる機能の集合である潜在能力(capabilities)によって評価すべき,とする理論を提唱した。
5
ドイアル(Doyal,L,)とゴフ(Gough,I,)は,「ヒューマンニードの理論」(1991年)において,基本的ニードは人間が自己善を追求する上で妨げとなる重大な侵害を避けるために必要とするものであるため,本質的に主観的かつ相対的であると論じた。
解説

4 - ○ セン(Sen.A.)の提唱した、ケイパビリティ(潜在能力)・アプローチによれば、機能の集合である「潜在能力」によって評価すべきと理論を提唱した。これは、「財と潜在能力」(1985年)において、人間のニードの充足は基本材を分配することでもたらされるとする「正義論」をを批判したことによる。「機能」とは、人間が生きる上で必要となる状態や行動の事を指し、自由に活用することができる能力の事を重視している。