2 - 〇 PTSDの概念については1980年のDMS-Ⅲで、アメリカでのベトナム戦争の帰還兵や性犯罪、DVなどの被害者に関する、身体症状だけでは説明しがたい心理的反応に対する認識などを背景にしてPTSDの判断基準が採用された経緯がある。日本でPTSDの概念が注目されるようになったのは、1995年(平成7年)の阪神 ・淡路大震災や地下鉄サリン事件などが契機。PTSDの判断基準に基づく様々なトラウマ反応の研究(大きく分けて「ヒステリー研究」「戦争ストレス反応」「性的 ・ 家庭内暴力」の三つ)が進み、犯罪被害や戦争体験、自然災害の被害など異なる体験の反応を統一的に論ずることができるようになった。
*DMS-Ⅲ : アメリカ精神医学会による精神疾患の判断 ・ 統計マニュアル