事例を読んで,関係当事者の民事責任の説明に関する次の記述|社会福祉士問題集

社会福祉士

Q 35 : 
事例を読んで,関係当事者の民事責任の説明に関する次の記述のうち,最も適切なものを1つ選びなさい。 〔事例〕V社会福祉法人が設置したグループホーム内で,利用者Lが他の利用者Mを突き飛ばしてケガを負わせた。ホームの職員Aは,Lに腹を立て,事実関係も確認せず,その場にLを長時間正座させ,他の利用者らの面前でLを叱り続けた。これが原因で,Lは体調を大きく崩して,長期の入院加療を余儀なくされた。
1
Lが認知症であれば民法713条が定める責任無能力者として免責されることになるので,LのMに対する不法行為責任は成立しない。
2
LのMに対する不法行為責任が認容される場合には,Vに民法714条の法定監督義務者責任を理由とする不法行為責任は成立しない。
3
LがAに不法行為責任に基づく損害賠償請求をする場合に,Vに民法715条の使用者責任に基づく損害賠償請求を併せて行うことはできない。
4
LがVに債務不履行責任に基づく損害賠償請求をする場合に,Vに民法715条の使用者責任に基づく損害賠償請求を併せて行うことはできない。
5
VがAの使用者責任に基づきLに損害賠償を支払った場合でも,VがAに求償することはできない。
解説

介護事業の事業主には安全配慮義務から従業員に対する監督責任があり、従業員の行為によって損害が発生した場合に損害責任を負う責任もある。また、その場合従業員も不法行為責任を負うが、今回のケースで、もしLのMに対する不法行為が容認される場合は、法定監督義務者責任を理由とする不法行為責任は成立しない