国土交通省がとりまとめた「トラック輸送の過労運転防止対策|運行管理者(貨物)問題集

運行管理者(貨物)

Q 29 : 
国土交通省がとりまとめた「トラック輸送の過労運転防止対策マニュアル」における下記の「過労運転による事故の危険性について」の記述等を踏まえ、事業者又は運行管理者が実施する次のア~クの対策の中で、過労運転防止のために最も直接的に有効と考えられる組合せを、末尾の枠内の選択肢(1~6)から1つ選び、解答用紙の該当する欄にマークしなさい。\n過労運転による事故の危険性について」\n(平成 20 年「トラック輸送の過労運転防止対策マニュアル」より)\n\nトラック運送事業においては、運転者の深夜・早朝を含む長時間の労働の結果、慢性的な休養不足により疲労が蓄積しやすく、運転者に過労状態が生じやすい傾向がある。また、長距離運行の際の車中泊等、睡眠環境の悪さなどが疲労回復を妨げ、過労 運転の要因となっており、\n\n(1)「睡眠時間 5 時間未満の運転者」のヒヤリハット体験や居眠り運転の体験率は、 「睡眠時間 5 時間以上の運転者」に比べてヒヤリハットの体験率が 2.3 倍、居眠り運転の体験率は 3.3 倍となっている。\n\n(2)運転者の 65%が運転中に眠気により危険を感じたことがあり、このうちの 3 分 の 2(全体の 44%)は、実際に居眠り運転の経験があると回答している。\n\n(3)大型トラックの事故の約 55%は追突事故であり、これによる死亡事故率は、乗用車に比べて約 12 倍高いという事故分析結果がある。\n\nア 経営トップから現場の運転者に至るまで、「輸送の安全」が企業の存立に最も重要であることをあらためて自覚し、過労運転防止を安全方針等に掲げて具体的数値目標を設定し、PDCAサイクルに基づき輸送の安全性の向上を図ること。\n\nイ 運転者には、大型トラックの運転方法、多様な地理的・気象状況のもとでの道路 状況及び運行の状況に関する指導を計画的に行い、運転者の安全運転に関する技量向上を図ること。\n\nウ 点呼において、運転者の顔つきなどの変化をよく観察し、前日の勤務状況や疲労及び健康状態などについて細かくチェックすることはもとより、運転者が疲労及び健康に関連した異常を感じたときに、常に「安全を優先した」対応のできる職場環 境作りをすること。\n\nエ 「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」を遵守し、運転者が疲れを感じたときには、臨時に休憩がとれる余裕を見込んだ運行計画を作成すること。\n\nオ 法令に基づく運転者が遵守すべき事項に関する知識のほか、大型トラックの持つ 特性等について理解をさせ、運行の安全を確保するための必要な運転に関する技能・知識を習得させること。\n\nカ 運転者自らが日常的に健康管理を適切に行っていくことを指導すること。特に、脳卒中や心臓病など、運転中の突然死を招く生活習慣病を予防していくためには、 食生活、運動習慣、休養、飲酒、喫煙等の習慣を改善し、自身の健康状態を把握するために、定期的な健康診断は必ず受診をさせること。\n\nキ 大型トラックが駐車して休憩できる駐車場やトラックステーション等の位置を把握し、運行計画の策定時に運転者が休憩・仮眠に利用できるよう配慮し、これらの施設を運転者に活用させるよう指導すること。\n\nク ASV(先進安全自動車)の導入により、車両面の安全対策を行っていくこと。
1
ア・イ・ウ・オ・カ
2
ア・ウ・エ・カ・キ
3
ア・エ・オ・キ・ク
4
イ・ウ・エ・オ・ク
5
イ・ウ・カ・キ・ク
6
エ・オ・カ・キ・ク
解説

ア. 直接的に有効 記述のとおりである。

イ. 直接的に有効ではない 運転者に、大型トラックの運転方法等に関する指導を行うことは、運転者の安全運転に関する技量向上の対策ではあるが、過労運転防止対策とは直接的に関係ないことである。

ウ. 直接的に有効 記述とおりである。

エ. 直接的に有効 記述とおりである。

オ. 直接的に有効ではない 運転者が遵守すべき事項に関する知識のほか、大型トラックの持つ特性等について理解をさせ、運行の安全を確保するための必要な運転に関する技能・知識を習得させることは、過労運転防止対策とは直接的に関係ないことである。

カ 直接的に有効 記述とおりである。

キ 直接的に有効 記述とおりである。

ク 直接的に有効ではない ASV(先進安全自動車)の導入により車両面の安全対策を行っていくことは、過労運転防止対策とは直接的に関係ないことである。

 以上により、過労運転防止のために直接的に有効な対策は、ア・ウ・エ・カ・キですから正解は2となる。