1. 不適 事業者の義務と運行管理者の業務は必ずしも重ならない。たとえば、運転者の勤務時間及び乗務時間の策定は事業者の業務である(安全規則第3条第4項)のに対して、事業者によって策定された勤務時間及び乗務時間の範囲内における乗務割の作成は運行管理者の業務である(同規則第20条第1項第3号)。事業者の策定した勤務時間及び乗務時間が運転者に長時間労働を強いるもので、それがもとで事故が発生したような場合には、事業者は運行管理者よりも重い責任を負うと考えられる。したがって、運行管理者は事故が発生すれば事業者と同等の責任を負うとしている点で、適切でない。
2 .適 運行管理者には、自動車輸送に関連する諸規制の理解や実務知識の習得だけでなく、運転者と日頃から積極的にコミュニケーションをとったり、事業者に運転者の声を代弁して伝えるなどの役割も求められる。
3. 不適 点呼はあくまでも対面が原則であり、電話による点呼は運行上やむを得ない場合に限られる(安全規則第7条)。遠隔地で乗務を開始又は終了する場合は「運行上やむを得ない場合」といえる。しかし、運転者の出庫・帰庫が早朝・深夜である場合には、その時刻に合わせて運行管理者が出勤したり、補助者に点呼をさせたりすることによって、対面による点呼を実施することは可能である。したがって、「運行上やむを得ない場合」とはいえず、不適切である。
4. 適 事業用自動車の運行が早朝から深夜にまで及ぶことは珍しくなく、運行管理者1人では運行管理業務を十分に果たせない場合が多い。そこで、複数の運行管理者を選任して交代制をとったり、補助者を選任して運行管理者の業務の一部を行わせたりするなどの対応が事業者に求められる。