事業承継に関する以下の会話は、中小企業診断士であるあなた|中小企業診断士問題集

中小企業診断士

Q 138 : 
事業承継に関する以下の会話は、中小企業診断士であるあなたとX株式会社 (以下「X社」という。)の代表取締役であり、かつ、X社の全株式を保有する甲氏との間で行われたものである。この会話を読んで、下記の設問に答えよ。なお、X社は、取締役会設置会社である。 甲氏:「私ももう70 歳です。そろそろ第一線から退いて、後継者と考えている長男の乙に株式をすべて譲り、私は、取締役相談役といった形で経営にかかわっていきたいと考えています。ただ、長男はまだ40 歳で、経営者としてはまだ少し若いような気がするので、少し不安が残ります。」 あなた:「それでしたら、甲さんが現在保有している株式はすべて乙さんに譲りつつ、新たに甲さんに[ A ] を発行したらいかがでしょうか。そうすれば、甲さんの賛成がなければ、X社の株主総会決議事項又は取締役会決 議事項の全部又は一部を決議できないようにできます。」 甲氏:「なるほど。そのような株式を発行することができるのですね。」 あなた:「ただし、この株式を発行した場合、[ B ] ので、注意してくださいね。」 甲氏:「分かりました。」 会話の中の空欄Bに入る記述として最も適切なものはどれか。
1
乙さんが経営努力を重ねてX社の株式の価値が上がれば上がるほど、乙さん以外の相続人の遺留分の額が増加してしまうことになる
2
議決権のない株式を有する株主について、優先的に配当を行うなどの配慮が必要になる
3
甲さんが万が一お亡くなりになった場合、乙さん以外の相続人が乙さんに対して遺留分減殺請求を行う可能性が高まる
4
甲さんと乙さんとの間で株主総会決議事項又は取締役会決議事項について意見が食い違って調整できないときは、何も決められない状態に陥る危険がある
解説

ア - × 中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律により、生前贈与された自社株式について遺留分算定基礎財産から除外できる。これにより、遺留分の増大を心配することはなくなる。

イ - × 議決権制限株式では配慮が必要である。

ウ - × 自社株式は遺留分滅殺の対象外となるため、他の相続人から遺留分滅殺請求を受けることはない。

エ - ○ 正解 記述内容の通りである。